2020 韓国 映画
!ネタバレしています。ご注意下さい!
はい、アカデミー賞受賞作です。
まぁ見る前から不穏なパッケージではありますが、
想像以上に不穏な物語でした。
極貧生活をしながらも楽し気で、たくましい一家。
富豪一家の娘の家庭教師になったところから、
一家の運は上向き、好転かと思いきや、
一度嘘をつきはじめたらもう、あの手この手で留まるところ知らず。
結局一家で身元を偽って富豪一家に寄生します。
その節操のなさには感心します。
たくましい・・・。
また富豪の奥さんは世間知らずで騙されやすくて先入観の塊で。
彼女なりに取捨選択しているつもりが、
どんどん深みにはまってしまって。
でも深みにはまっていることに全く気付かないのがかなり滑稽です。
彼女の思い込みの激しさ、自尊心の高さは
お金持ちの奥さんあるある、かな。
富豪一家の主人はかなり尊大な人で。
でも自分のことをいい人だと思っているフシがあって、
見識が広いと自負していながら、
結局はその視界の狭さから
あんなことを招いてしまったと。
責められるべきは加害者だけど、
見るものに、彼自身の落ち度を感じさせる部分は大きかったと思えます。
印象的だったのはパラサイト長男がとりつかれた石の存在。
あの石が象徴するのはやはりどんなに頑張っても浮遊できない社会底辺の生活。
つかのま夢見た上流階級の生活から一転、水害に見舞われ、
何もかも失って手元に残った重い石。
どんな環境に身を置いても、その生活は足枷となって自分の未来に重くのしかかる。
翌日のパーティーでの長男の暗い眼差し「俺はこの場所にふさわしいかな?」と、
その答えが暗示されていて、
結局その石でとどめをさされるわけですが・・・。
元の家政婦とその夫の存在がやはりこの映画の一番ホラーな部分でした・・・
雨の中訪ねて来た時の不気味さ・・・
弱みを握ったとたんに豹変する怖さ・・・。
富豪夫に心酔し、ライトのセンサーとして働く滑稽さと不気味さ。
いっちゃってますが、
富豪長男が目撃した姿はトラウマものでしたね・・・。
この映画の被害者は富豪一家なのですが、
中でも長男は色々衝撃的な経験をしてしまってかわいそうでした。
パラサイト一家、自分たちは社会の底辺だと自覚していたし、
視聴者もそう見ていたのに、それを上回る存在の出現・・・
結局、下には下があって、底なし沼のようで。
一家は離散して長女は亡くなって、
長男の夢見るものは白昼夢かな・・・。
父親は果たして本当にモールス信号を送っているのか・・・、
長男の妄想なのか。
現実だったとしても、妄想だとしても、
底なし沼の深さは見えないまま。
お化けの出てくるホラーよりも、
よっぽど怖いお話でした。
底なし沼にゆっくり沈んでいく石を見ているようなぞわぞわする恐怖。
何気ない会話にも意味があって、
人と人との関係性をにおわせる伏線があって、
笑える描写もあり、
映像も洗練されていて、俳優陣の演技も素晴らしかった。
一番好きなシーンは、元家政婦をパラサイト母が階段上でキックするシーン。
かなりひどいシーンだけど、なぜか滑稽で、
パラサイト母の華麗すぎる身のこなしとすまし顔が最高でした。
・・・あれが最高シーンなんて、私も相当闇深い・・・
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