令嬢ジョンキエール -愛と復讐の果てに-

2019 フランス 映画

!ネタバレしています!ご注意下さい!


なんだか格言のような物語。

プレイボーイの侯爵に数カ月かけて求愛されて、

根負けする形で求愛に応じた未亡人。

周囲の予想より長かったものの数カ月で心変わりされ、

未亡人の愛は憎しみに。

まさに可愛さあまって憎さ百倍。

侯爵への復讐を企てます。


親友とのうわさ話に出た親子、

男に裏切られ没落した貴族のジョンキエール夫人とその美しい娘が

酒場で身を売って生活していることを思い出し、

その娘を利用して侯爵を貶める作戦です。


未亡人は親子に信仰に厚いフリをさせ、偶然を装った出会いを演出。

手の届かない存在のその娘に侯爵はまんまと心を奪われます。

寝ても覚めても娘のことが頭から離れない侯爵。


願っても手の届かない娘に日増しに想いはつのり、

財産を半分差し出します。

そしてついに求婚まで。


娘は素性を偽って結婚することが耐えられないと嘆きますが、

母親は欲をかいて娘を結婚させます。

未亡人は結婚を祝福するものの、

結婚後に最大の復讐を。

親子がいた酒場に連れていき、正体を暴露します。

ショックをうけた侯爵は娘を突き放し、

娘は入水自殺を図ります。

一命をとりとめた娘は侯爵に本心を吐き出し、

侯爵はその娘の想いに胸をうたれ、お互い理解し合います。


結局探し求めた真実の愛を手に入れた侯爵、

その美貌と知性に見合った立場を手に入れた娘、

復讐の末に孤独に陥った未亡人・・・。


どうなるんだろう、と悲劇的な結末を心配しながら見守りましたが、

まぁある意味ハッピーエンド。

めちゃくちゃ冴えない風貌なのにモテまくるプレイボーイの侯爵。

なんでこんなおっさんが、と思いましたが、

ただ純粋で駆け引きもしない素直なおっさんで、

あきれながらも好感が持ててきます。

でも罪作りだよね・・・結局自分のことしか考えないで、

ちょっと気になるとすぐに相手に想いをぶつけてふりむかせて、

そのクセ一瞬で飽きる。

取り残された女に残るのは捨てられない愛情と不名誉な噂。


未亡人の復讐心もよく分かる。

でも結局復讐は何も生まないのよね。虚しさだけ。

侯爵を罠にはめたつもりが、

予想を超えて娘にのめりこむ侯爵に対して

嫉妬心がどんどん大きくなるのが可愛そうでした。

どこかで自分に再び目を向ける日が来ると思っていたのかも。

結局他の女性たちや綺麗なだけの小娘よりも私への愛を思い出してくれるはずだと。

あの暴露だって愛情が大きいからこそだよな・・・。

歪んでしまったけど。

復讐を全て終えて、寂しさは漂っていたけどきっと時間が解決してくれるはず。


娘の存在感は素敵だったなー。

透き通る美貌と不遇な運命に腐らない信念。

侯爵・未亡人・母親があーだこーだ大騒ぎする中でも、

ずっと沈黙を守って、見ている側は完全に娘目線に。

どうかこの娘が本当は性悪だとか、すごく不幸になってしまうとか、

そんなネタバラシやバッドエンドにならないように・・・と思って。

自分の秘密がバレて責められても毅然とした態度で、

誰も裏切らない存在。

きっとこの先とても素敵な妻に、母になるんだろうな、と。


衣装やお屋敷の装飾なども美しくて本当に素敵でした。

たまに絵画のように切り取られる画面も美しかった。

古典のようだけど、現代風でとても分かりやすく見やすいお話しでした。

Duka’s

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