2018 アメリカ ドラマ S1~2
!ネタバレしています!ご注意下さい!
ついこの間見終えた『 THE BOYS 』と同じ流れで・・・
S2配信で、すっかり忘れたS1から見返す10時間・・・
さすがに2作続けてこの流れで自分に嫌気がさしてきました・・・
あくまで自分の中での話、作品には何の罪もありません。
しっかり内容を覚えていればいいだけのことで。
お話しの内容は、
1980年代のニューヨーク。
この時代は真偽を疑われ医学界からは煙たがられる存在であった精神科医。
その精神科医でドイツ移民、ラズロー・クライズラー。
上流階級の遊び人、婚約者に裏切られ心に傷を持つ挿絵画家、ジョン・ムーア。
女性初の警察職員(でも署長秘書)、サラ・ハワード。
この3人とそれをとりまく当時の社会の人間関係と、過去と、抱える心の傷を描きながら、
S1では少年連続殺人、S2では乳児誘拐殺人という2つの連続猟奇事件を
解決してゆくお話しです。
S1ではクライズラー、S2ではサラにスポットをあてていました。
犯人像を、当時は確立されていなかったプロファイリングで絞り込んでいきます。
犯人像に迫りながら、何が人を犯行に走らせるのか、
その心の闇は誰もが抱えるものではないのか、
あるいは自分自身が犯行に至らないのはなぜか、
そこに着目し、周囲の人間には容赦なく疑問をぶつけるのに、
サラから自分の心の闇を指摘されると逆ギレするラズロー・・・。
女性初の警察職員として強く美しいサラも大きな闇を抱えていて、
皆が痛みと闇を抱えながら、犯人の心の深淵にせまっていくさまが、
時に感傷的に、時にスリリングに描かれていて、
そのバランスが絶妙で全く退屈しません。
先が気になって一気見必至です。
一番素敵なのはやはりサラ・ハワード。
父親を自死でなくしたトラウマから、
自分の心の闇に向き合うことを恐れ、愛に向き合うことを恐れ、
それを隠すように強く、たくましく、毅然と生きる彼女は本当に美しい。
ラズローの捜査に加わる前は信念を持ちながらも生かす場がなく、
どこか持て余し気味だったけれど、どんどん解放されていきます。
S1~S2を見終えて残念だったのは、
S1で大活躍だったかわいい少年、スティービーがS2でほぼ活躍がなかったのと、
ジョセフが影も形も見せなかったこと・・・ちらっとでも成長していてほしかったな。
スティービーは馬車シーンでしか出てこなかったし。
あとS2でユダヤ人刑事のアイザックソン兄弟の、かっこいい方のマーカスが殺されてしまったこと・・・かっこよくて大好きだったのにな・・・
なによりジョン・ムーア・・・
常識に囚われるつまらない男じゃなかったはずなのに・・・
S1でサラとジョンはすごーくいい感じになるのですが、
サラは鉄の鎧でもまとっているみたいに本心を出しません。
S2で明らかになりますが、それはサラの母親との関係に問題があるようで。
自分は母親が望んで産んだ子ではなかった。
社会的にそうせざるおえないから産んだ子供で、
母親にとって自分が足枷であったという自覚を抱えているから、
自分もそうなのではないかとの葛藤を抱えている。
同時に社会に出て活躍し続けたい強い意思をもっていて、
実際、意思だけじゃなくすさまじい行動力を兼ね備えていて。
結婚して子供を産み家庭を支える人生は自分には送れないという負い目と、
男性(ジョン)はそれを求めているという諦めと、
そんな自分はジョンに受け入れられないという不安と、
家庭を持つ人生を求める愛するジョンとは幸せにはなれないという葛藤。
どれも痛いほど伝わってきて。
ジョンも一度はサラをあきらめバイオレットという、
こちらはジョン・ムーアの妻として家庭を築くことを強く求めるお嬢様と婚約するのですが、
どうしようも心の底で愛し合っているジョンとサラは、
お互い歩み寄り、心を開いて自分たちの幸せを切り開こうとするのです・・・が・・・
まさかのバイオレットご懐妊・・・
そしてやはり子を持ちたいジョンと、それを祝福してジョンの手を放すサラ。
サラの、とても悲しいけれどそれ以上に嬉しい、という言葉。
さようならサラ・ハワード、とサラへの愛を捨てたジョン。
なんとも残念だったけど、納得はいく筋書で・・・。
事件と、登場人物たちの心情と過去と社会背景と、
主人公たちを邪魔する勢力と、
本当に支離滅裂になりそうなのに、
素晴らしくよくまとまって、ロマンチックでミステリアスでスリリングなお話しでした。
邪魔するやつら、S1から一貫して極悪な元警察長官バーンズですが、
彼の手先として悪事をはたらいていたコナーは死んでしまうし、
警官も殺されるし、割と悪いやつはいなくなるけど、
バーンズはしぶとく・・・。色々と暗躍しますが、
S2の終盤、不本意ながらもサラの指揮下で捜査を行うことになり、
出し抜こうとあの手この手を使うものの、結局全部裏目に出るという、
迷惑この上ない人だけど、
出し抜こうとしている内にラズローやサラの捜査手法が優れていると気付き、
最終的にはサポート体制でした。
まぁ、警察署襲撃されたりしてこれ以上後がないくらいに切羽詰まった上で、
やっと・・・ですが。
S2のエンディング、警察との協力関係を築き、社会的に認められたサラの探偵事務所。
今までみたいな雑用(上流家庭の奥様のひまつぶしみたいな依頼)を丁重にお断りするまでになっていて、成功ぶりが垣間見えました。
社会の変革を担うその事務所に新人女性がはいりますが、
その名はなんとキティ・バーンズ!
バーンズが劇中、自分に4人の娘がいると言っていたので、
他に何も説明はありませんでしたが、
あのバーンズの娘に違いありません・・・
なんと、あの狸おやじ、全面的にサラを認めたということか・・・
娘を勤めさせるとは、これは完全な信頼関係ですよね。
改心したんだろうか。娘に自分の悪事がばれなきゃいいけど・・・。
と、ジョンとサラは非常に残念でしたが、
サラの清々しい笑顔と活躍を見るに、
ハッピーエンドというよりほかありませんね・・・。
あ、ラズローも一応新たな恋の予感なんだった。
一応新天地で活動するようだし。
彼はちょっと人間的に面倒くさすぎてさらっと流してしまいましたが。
全編通して、建物や衣装も素敵でした。
上流階級の女性たちが皆スカートずりずりずりずり引きずりながら歩くのは見ていて気持ち悪くてしょうがなかったけど。路上のゴミを全部かき集めそうで。
馬車の音とか、ヒールの音とか、心地よい感じでした。
馬車時代のドラマは蹄の音と木がきしむ音が好きです。何気に。
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