2015 日本漫画 東村アキコ
!ネタバレしています!ご注意下さい!
漫画です。
東村アキコさんという漫画家の、回顧禄。
作者が高校生の頃に通った画塾の先生との物語。
漫画家になりたい、美大に行きたい、と志してから
漫画家になった現在までを、
先生との関係を軸に描いたもの。
主人公が絵を描きたい!美大に行きたい!と言い出して、
あー、よくあるやつか。
ふわふわきらきらした主人公が美大受験に向けて予備校通って、
恋だのなんだのいいながら、
ちょっと影のあるツンデレな才能爆発系美男子とふわっふわきらっきらするやつか。
と、毒吐き紛れに読んでみたけど、とんだスポ根だった。
ストイックで自分にも生徒にも厳しく、
一直線で妥協を知らない画塾の先生と、
若さゆえ自分に甘く、自分勝手で、見栄っ張りで、
ごまかしばかりな作者。
振り回されながらも食らいつき成長する時期、
ひたすら自堕落な時期、
正論だとわかっていても目を耳をふさいでしまう時期、
自分が進むべき方向を目指して邁進するために他人をないがしろにしてしまう時期、
誰でも身に覚えがあるような、
読んでて身につまされるお話しでした。
作中の西村くんじゃないけど、
あんな情熱的な先生に出会えて作者が羨ましい。
無理難題を言われているようだけど、
すごい愛情じゃないかと思う。
私も少し美術系にあこがれて、
美術予備校行って、作者と同じ北陸の美術系学校に通ったので、
あるあるネタがたくさんで面白かった。
ただただキャンバスに向かって絵を描いた日々、
ひたすらしごかれてがむしゃらに頑張った日々、
そういうものがある作者はいいな。
私はどれも中途半端にやってきたから。
今からでも遅くないだろうか・・・。
でも、立場や境遇は違うけど、
同じような熱量の人との出会いはあって。
やっぱり目を背けて逃げてしまった。
その人ももう亡くなっていて、
生きている間にああすれば、こうすれば、と思う部分もあるけど、
でも生きている間にはやはり意地とか見栄とか恥とか恐れとか、
あとは若い日の自分の過ちと対峙するのが怖かったりとか、
色んな感情がごちゃ混ぜで、
正面から向き合えないものでもあるのだろうと思う。
若くして亡くなった母への想いはまた別だけど、
ああすれば、こうすれば、って後悔は山ほどある。
母に対しては後悔しかないくらい。
大人なら誰にでもあるだろう、
若い日々への後悔、回顧
亡くなった人への無念、後悔
そんなものがつまってました。
思い起こさせてくれる良い作品に出会えてうれしいです。
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